データえっせい: 専攻別にみた大学教員の構成変化

2010年の文科省『学校教員統計調査』をもとに,同年10月1日時点の大学教員の構成を明らかにしてみましょう。それによると,大学に正規に属する本務教員は172,728人です(①)。授業をするためだけに雇われている兼務教員(以下,非常勤教員)は202,294人です。この中には,大学の本務教員が他校に出校しているケースが含まれますので,それを除くと149,573人となります。

 この149,573人は,作家や研究所勤務など,本職の傍らで教鞭をとっている「定職あり非常勤教員」と,それがなく,薄給の非常勤講師をメインとして生計を立てている「定職なし非常勤教員」に分かれます。数でいうと,前者が66,729人(②),後者が82,844人(③)なり。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001016172

 広義の大学教員は,上記の①〜③の成分から構成されると考えられます。この3つの構成を百分率で表すと,下表のようです。比較の対象として,1989年(平成元年)の数値も添えています。


 現在では,大学教員の約半分が非正規であり,4人に1人が職なし非常勤教員です。20年前とは,構成が様変わりしています。本務教員の減少,職なし非常勤教員の増加です。後者の比率は,9.0%から25.7%まで増えました。

 1991年以降実施された大学院重点化政策の影響が大きいことでしょう。この点については,4月2日の記事で書きましたので,ここにて詳しくは申しません。また,職なし非常勤教員の待遇の劣悪さ,悲惨さについては,下記のJcastニュース記事をご覧いただければと存じます。
http://www.j-cast.com/2009/05/06040504.html?p=all

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